障害のある人たちがスポンサー企業を集めるラジオ局を作るまで
「障害のある人たちがラジオ番組を作っています。」
そう聞くと、驚く人は少ないかもしれません。
最近では福祉施設で動画制作をしたり、イラストを描いたり、SNSを運用したりする取り組みも増えてきました。
しかし、
「障害のある人たちがスポンサー企業を集めながらラジオ局を運営しています。」
と言うと、多くの人が驚きます。
私たちが運営する就労継続支援B型事業所「未来図校静岡キャンパス」では、利用者が主体となって『8ユニットラジオ』を制作しています。
企画を考える人。
パーソナリティとして話す人。
音楽を選ぶ人。
ミキサーを担当する人。
タイムキーパーを担当する人。
それぞれが役割を持ちながら、一つの番組を作り上げています。
ですが、最初からうまくいったわけではありません。
ラジオ経験者は誰もいませんでした
番組を始める前、利用者の多くはラジオ制作の経験などありませんでした。
人前で話すことが苦手な人もいます。
初対面の人と会話することが苦手な人もいます。
自分の意見を伝えることに不安を感じる人もいます。
それでも少しずつ挑戦を重ねました。
番組のテーマを考える。
話す内容を整理する。
台本を書く。
収録する。
振り返る。
その繰り返しの中で、少しずつ番組が形になっていきました。
気がつけば、最初はほとんど話せなかった人が、自分から企画を提案するようになっていました。
番組を作るだけでは終わりませんでした
ある日、こんな話になりました。
「スポンサー企業を探してみよう。」
ラジオ番組にはスポンサーがいます。
テレビにもいます。
新聞にもいます。
では、私たちのラジオ番組にもスポンサーがいてもいいのではないか。
そんな発想から始まりました。
もちろん簡単ではありません。
企業へ連絡する。
訪問する。
番組について説明する。
自分たちの想いを伝える。
断られるかもしれない。
興味を持ってもらえないかもしれない。
そんな不安を抱えながらも、一歩ずつ挑戦しました。
共感してくれる企業が現れた
すると、少しずつ共感してくださる企業が現れました。
「面白い取り組みですね。」
「応援したいです。」
「地域のためになる活動ですね。」
そんな言葉をいただけるようになりました。
現在では複数のスポンサー企業に支えられながら番組を継続しています。
スポンサー企業のおかげで放送が続きます。
そして利用者は、自分たちの活動が社会に認められていることを実感できます。
これは単なる資金援助ではありません。
地域とのつながりそのものです。
私たちが作りたかったのはラジオ局ではありません
誤解されることがあります。
「ラジオをやりたかったんですね。」
もちろんラジオも好きです。
でも、本当に作りたかったのはラジオ局ではありません。
私たちが作りたかったのは、
社会との接点です。
役割です。
誰かに必要とされる経験です。
スポンサー企業へ説明する。
地域のお店で公開放送する。
番組を通じて誰かと出会う。
その一つひとつが社会参加につながっています。
障害があるから参加できないのではありません。
参加する機会が少ないだけなのかもしれません。
だから私たちは、その機会を増やしたいと思っています。
放送は、止まらない
未来図校には様々な人がいます。
長く引きこもっていた人。
働くことに自信を失った人。
人との関わりが苦手な人。
それでも役割を持つことで、人は少しずつ変わっていきます。
ラジオは目的ではありません。
社会参加のための手段です。
誰かに必要とされること。
地域とつながること。
自分の人生を自分の足で歩くこと。
そのために、私たちは今日も放送を続けています。
放送は、止まらない。

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