就労継続支援B型事業所の工賃100円は労働力の搾取か

最近、障害者を取り巻くネットの記事が多く取り上げられるようになったと思います。グループホーム(共同生活援助)を運営する企業の不正請求、障害者入所施設での職員による虐待などです。みなさんも一度は目にしたことがあるかと思います。そんな記事の中で目を引くのが、”就労継続支援B型事業所を利用して支払われる、工賃の低さを取り上げた記事です。

最低賃金1000円のこのご時世に、障害者を時給100円でこき使うなんてけしからん!障害者に対する差別であり、労働力の搾取だ!って記事でも言ってるしヤフコメにも多く載っています。特にこの井戸端会議的内容のヤフコメは当事者が書いたものであろうと容易に想像できますが、私は断言します。

この認識は、正解でもあるし間違っているとも言えます。なぜか。

就労継続支援B型(以下、B型)をはじめとした障害福祉サービスは2006年に誕生した比較的新しい制度であり枠組みです。
それまで措置制度というものがあり基本的に利用者はサービスを自由に選ぶことができませんでした。
それが法改正でサービス提供事業者を利用者が自由に選べるようになったのです。

その中の一つ、B型という制度は”一般企業で働けない人に対して働く場所と仕事を提供する”サービスです。普通の会社に雇用されない人に対して”仕事をする時間”を提供するものなのです。
言い換えれば、最低賃金全国平均1004円に対する働きが出来ないと見なされた人に対してもっと安い賃金の仕事を提供するからここで働いてね、といっているのです。それがこのB型というサービスなのです。

そもそもの話、働くとは一体どういうことでしょうか?その答えは、給料をもらう代わりにしっかり労働力を提供する。です。企業に雇用され労働者として働く以上、自分の給料分は自分の手で利益を出す(売上じゃなく利益)責任があなたに課せられます。それが雇用契約なのです。企業で働くということはそういう事なのです。その最低ラインが最低賃金1004円なのです。あなたには1時間あたり1004円のお金を生み出す能力が必要なのです。今のあなたはそれだけを稼ぐ能力がありますか?安い賃金で搾取されるだとか差別してるという認識の人は、きっと1004円というお金を生み出す能力が自分にはあるという考えが根底にあるものと考えます。なのに時給100円で時給1004円と同じだけの仕事量を課せられるから搾取だ、と言いたいのではないでしょうか。厳しいようですが、それが嫌なのだとしたら自分で就職活動をして一般雇用を勝ち取ればいいだけの話です。さきほども言いましたが、障害福祉サービスは自分で選んで利用する制度です。

事業者が工賃を支払う時のルールがあります。それは、利用者が作業をして売り上げたお金は必要経費を除いて全額利用者に支払いなさいというものです。行政にも実績を届け出ます。
また、B型の全国平均工賃額は令和4年度で時給233円です。つまり、B型事業所では233円を1時間で稼ぐ能力しか求めていないともいえます。しかし、なかには本当に労働力の搾取と捉えられてもおかしくない事業所も存在します。

なんでもかんでも搾取だ差別だという前に、まずは制度を勉強してください。また、ご自分のお金を稼ぐ能力を客観的に理解してください。それでも搾取や差別だと思うなら声を上げてください。
そして、ぜひ、B型なんかやめて就労移行やA型を利用してください。もしくは、一般就労してください。

そうじゃなく、工賃の安いB型を利用する意義が見いだせたのならより時給の高いB型に移ってください。そのほうがよっぽど意味があると思います。

自分に合った、仕事やサービス、事業所を見つけるにはそれなりの準備が必要であり、客観的視点が不可欠です。
もし、障害福祉サービスでお困りのことがありましたらご遠慮なくご連絡ください。

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