【未来図校が考える】高工賃事業所の”知られざる”実態とは?
※この記事は、6/26のブログ「就労継続支援B型事業所の工賃100円は「搾取」なのか?」を読んでくださった方から頂いたお手紙を基に記事を書いています。
就労継続支援B型事業所と聞いて、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?特に「高工賃」を謳う事業所は、利用者さんにとって魅力的に映るかもしれません。しかし、今回、私が匿名でいただいた情報から、その高工賃の裏側にある、厳しい現実が見えてきました。今回は、あるB型事業所の内部で起きている「高工賃事業所の実態」について、皆さんにお伝えしたいと思います。

——————————————————————————–
「高工賃1,075円」の裏にある“高いスキル”の要求
今回情報提供いただいた埼玉県内にある事業所は、確かに工賃が1,075円と高めに設定されています。これは利用者さんにとって、働くモチベーションにもつながるはずです。しかし、その高工賃の背景には、「最初から高いスキルを持った利用者を求めている」という実情があるそうです。
具体的には、知的障害のある方にとっては厳しく、精神障害の方でも「ある程度専門的なパソコン操作ができること」が前提となっているとのこと。このスキル要件が、あらゆる場面でネックとなるケースが多々あるようです。

限られた作業内容と利用者のミスマッチ
もちろん、パソコンが苦手な方向けに「内職作業」も用意されています。しかし、この内職作業は全体量が限られており、これだけで毎日作業を提供し続けるのは事業所として困難だと言います。
そのため、事業所では「内職 → 文字起こし → スマホ教室運営」や「eスポーツ大会」「動画編集作業」といった流れで業務が組まれているそうです。しかし、多くの方が接客に苦手意識を持っていたり、パソコン未経験だったりするため、結果として内職作業ばかりになり納品予定日よりも早く終わってしまう、という状況も生まれているとのこと。
利用者さんの離脱と職員の課題
「内職以外の作業も挑戦してほしい」と促しても、やはり向き不向きがあり、理由をつけて辞めていく利用者さんも少なくないそうです。体験段階での離脱であればまだしも、契約後に辞めてしまうケースもあるとのこと。
情報提供者の方はその原因を理解されているそうですが、驚くべきことに、他の職員の方々は福祉業界での仕事経験が全くないため、なぜ辞めたのか理解できていない状況にあると言います。
さらに、職員の中には接客態度や言葉遣いが悪い人がいるという問題も指摘されています。これを利用者さんが気にされ、先日も情報提供者の方に相談があり、ご自身も心を痛めているとのことでした。

「何でもできる」という過度な期待が利用者さんを潰す
一方で、非常に高いスキルを持つ利用者さんもおり、日々感謝されているそうです。しかし、その一面だけを見て、他の職員が「この人は何でもできる」と期待しすぎてしまうという問題も発生しているとのこと。
その結果、それ以外のことも強要してしまい、結果的に利用者さんが病んで潰れてしまうということも起きていると、胸の痛む状況が手紙には書かれていました。
——————————————————————————–
「高工賃」という言葉の裏側には、利用者さんのスキルとのミスマッチ、職員の専門性の欠如、そして過度な期待による疲弊といった、様々な課題が潜んでいることを示唆しています。事業所運営においては、工賃の高さだけでなく、利用者さん一人ひとりに寄り添い、適切な支援を提供することの重要性を改めて考えさせられる内容でした。
私たちは、今後もこうした現場の「生の声」に耳を傾け、福祉の未来をより良くしていくための情報発信を続けていきたいと考えています。
コメント